下書き。下書き……下書き、ねぇ……

物の本によるとイラストを仕上げる工程は「アタリ→ラフ→下書き→ペン入れ」とされている。この内下書き以外の三つってのはその意味を自分なりに落とし込むことが(多分)できたんだけど、どうしても未だに下書きってやつの意味が分からない。
調べてみると大抵「ラフでバランスが崩れている所の修正」とか「正しい線を選び出してラフから完成絵に近づける行為」とか書いてあって、そのくせ「ペン入れの時にはただなぞるだけにならないようにしましょう」とか書いてある。

うーん、意味がわからん。

というのもさ、バランスがおかしいとかそういうのはラフの段階で直しとこーや、みたいなのがボクの中にはあって。
まあ一旦形にするっていう意味でラフなのは分かりはするんだけど、世の中の上手い人の見てるとそもそもラフが超絶に上手いじゃない。
ここにペン入れしちゃいけない理由はなんなの? っていう。ペン入れしながら修正しちゃいけない理由はなんなの? っていう。
もちろんラフっていうのがほんとにラフ(というかもはやアタリ)で下書きに対応する部分が他の人で言う〝ラフ〟って人もいるけど、これは単にラフと下書きの境界線みたいのがそもそも凄く曖昧という部分に起因しているんだよね。
(これもまた〝下書き〟としてあえて区別する理由のよく分からなさに繋がってるんだけど)

で、下書きってのは多分ラフを消さずに上書きして細部を決めてイメージを固めるっていう作業なんじゃねーかなぁ……とは思ってはいるんだけど。
それだったらぶっちゃけさ、デジタルならラフのレイヤーに上から乗っけて細部を修正して上書きすれば全体像を描き直す必要は無いわけじゃない。
というか下書きを作成したところでそうするわけじゃない。
もし全体を書き直すっていうんだったらそれこそ別レイヤーに描いていけばいつでも最初のバージョンを確認できるわけで、わざわざラフ→下書きっていう工程を挟む意味がわからん。

そう考えたらさ、下書きっていう工程を挟んでからペン入れに入るのはなんなんね? って気分になってくるのよね。
細部だって初めからペンで描けばいーじゃん、っていう。
で、こういうのを考えれば考える程、下書きっつうのは単にアナログ時代の名残なんではないかという気分になってくるのよ。

というのも、アナログだったら下書きの意味ってのはよく分かるの。いきなりペンで描くっていうのはあまりにもリスキーというか、多分プロでも相当しんどいよね。
だからラフから一旦正解の線を描き起こして、後は強弱をつけながらなぞるだけ……っていう状態にしておくっていうのは凄く理に叶っている。むしろ誰だってそうする。
ところがデジタルの場合はGペンだろうが丸ペンだろうが、あるいはマーカーだろうが墨だろうが間違えたら完璧に消せるのよ。
だからデジタル上で書き損じを恐れる必要は全くないし、そうなってくると下書きという工程でウンウン唸る意味というのもよく分からん。
だって、場合によっては「ペン入れ直前のほぼ完成絵」とか書かれてるんだぜ? なんで一回完成絵の手前に持ってったモノを更にペンで書き直して完成に持っていく必要があるんさ。
だったら初めからペンで書いて細部を太くしたり補足したりで修正して完成に持ってったほうが絶対時間がかからないじゃない。
アナログはそれができないから下書きっちう工程がある。それは分かる。
でもデジタルでそれにこだわるのはなんなん? っていう。

ここがね、どうしても分からないの。
というか、考えれば考えるほど下書きって工程実はデジタルならいらねーだろ、っていう所に帰着していく。
まあ、そういう時は実際に試してみるしか無い。試してみて妙に苦労する時、なるほど下書きってのは意味あったんだなって気づくことができるし。
(今のボクの視点はイラストという点で見ているので、漫画だとやっぱり下書きっていうのは必要だよ、とかなるのかもしれない。あるいは一人を描くんじゃなくて、数人、それも背景に混じらせながら……ってなるとラフだと心もとないよ、ってなるのかもしれない。というか後者は十分ありえる可能性だと思う)
試してみて全く問題ないならやっぱり仮説どおり下書きなんぞデジタルでは必要ないって話になる。

ただなんとなく、ラフの段階で完全にイメージできない人(つまりボク)のような人が手を動かしながらイメージを固めていくっていう過程として下書きってのはあるんかな、という気もしている。
要するに上級者だったらいらない工程というか、ペン入れできるくらいに輪郭がしっかりしてれば極論アタリみたいな落書きでもいいんではないだろうか。
このへん少し、色々試してみるか……。

お絵かき
えろんのかんづめ

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