魔族暮らしは次辺りから色々と伏線回収的なパートに入ることもあってここ数日はちょくちょく前半部分を読み返してるんだけど、いやー、読めたもんじゃないわ(死
これでも投稿した時には「なんて読みやすくて分かり易い文章なんだ……!」とか思ってたんだけど、とりあえず蹴り入れて土下座させたい感があるよね。描写の修正は諦めるとして、少なくとも句点の量くらいは調節してしまいたい。
いずれにしてもよくこんなのであれだけ多くの人に読んでもらえたな。幸せものだよ。ほんとに。
さて本題なんだけど、冒頭というか世界観の描写ってむっちゃくちゃしんどいよねっていうお話。
ここで言う〝冒頭〟っていうのは最初の数行、まさに始まり……という部分のことではなくて、主人公たちが今どんな状況でどんな課題を抱えててどんな立場なのか、っていうのを提示していこう、っていうやつ。
異世界だと特に重要で、どれだけの情報を開示して情景を構築するかって言う部分。
んで、正直ボクはここ超苦手です。毎回ウンウン言いながら言葉をひねり出していて、昨日の姫初め短編序盤の推敲にめちゃくちゃ時間がかかった一つの要因もこれ。
それで、魔族暮らしを見返してるとやっぱり説明が多いなぁ、と。
特に四話なんかで延々レテの一人称を使って世界説明してる部分。
いやまあ、当時からそれはやっちゃいけないと分かっていて、その時の全力で端的に、かつ最低限にしたつもりだったんだけど、今見返すと酷い。
賭けてもいいけど、あれじゃあ読み手はさっぱり分からない。完全に読み飛ばすだけ。
ただね、ボクもそうだけどこういう「ひたすら設定・容姿・心情を語る」みたいのって素人小説には多いのよ。
なんでかっちうと、多分超楽だから。他のやり方をするスキルがないから、とも言うけれど。
特に一人称で設定語らせるのって本当に楽で簡単なの。動かすのが主人公一人だけでいいし、何より設定部分をひたすら語ってればいいから。
で、解決策としてよく言われているのが会話形式にするとか動作を交えるとか言われてるやつ。
日常の何気ない会話で世界観みたいのをふんわり描写できるとカッコいいよね、っていうやつ。
これも油断するとひたすら説明ゼリフを繰り返すだけになるので難しいんだけど、それでも一人称でひたすら設定語らせるよりは大分マシ、つまりは目が滑らなくなる。
ただじゃあこれをやればいいやん、って話になるんだけど、これねぇ……きっついんだよ。
一度でも挑戦したことのある方ならきっと共感してもらえると思うんだけど、きっついんだよ(二回目)。
多分だけど、〝画力〟に対応する〝文章力〟っていうのがあるならここが該当部分の一つだと思う。
で、なんできっついのかっちうとね、動かすのが一人じゃないから思うように説明が進んでかないの。
あくまでも会話とか何かに対するレスポンスという形で進めるから、なかなか作者の思い通りにはいかない。おまけに油断すると簡単に脱線する。
そして一番の問題は、そう都合よく登場人物が二人いて喋ってる事なんて無いっていうね。無口で孤独系主人公とかもう大変。ってかその場合どうすればいいのか誰か教えて欲しい(ぇ
まあそんなわけで、正直書き手としては読むのが自分だけだったらまとめてしまったほうが圧倒的に楽。作者はそこ読んでも目は滑らないし。
でも読み手はそんなとこ読まない。絶対に読まない。奇跡的に読んでもらえたとしても絶対頭には入っていない。
読み手という存在を考えた時にそんな作者本位な書き方してたらすぐにブラウザバックをされてしまうのが関の山。
もちろんブラバ〝される〟かどうかを客観的に言うことはできないけど、少なくともボクはブラバ〝する〟。
到底読む気にならない。延々容姿が語ってあるやつも同じ。
で、そうするとね、必然的に会話シーンとかそういうものが超大切だってことに気づくのよ。
いわゆる日常シーンと言われてるやつ。いや、特に純ファンタジーだったら超絶日常シーンで読み手に「地球との違い」を印象付けるほうがいいくらい。
なんにしても「ストーリーの核となる何かが起こる」以外の部分を描写する必要性ってのが出て来る。
ほんで、これがいわゆる「描写が薄くなって困っています」に対する一つのアンサーなんだろうな、と。
というのも、ボクはノクタに来る前ラノベっぽいものを趣味で書いてはいたけど、特に日常シーンってのが苦手だったのね。
戦闘シーンはどうにかなるけど、それ以外の描写がてんでダメ、みたいな感じ。
まあ今でも苦手なのは変わってないんだけど、それは多分〝日常を描こうとしてしまった〟から。
でもそれはきっと違くて、日常シーンとかそういうのはただ〝世界観・キャラクターを描写する〟ためにあるんだなぁ、と。
つまりね、例えば移動シーンなんかでキャラクターを会話させながら世界観とか、容姿とか、相対的身長関係とか、雰囲気とか、人間関係とか、性格とかを描写していくの。
これをひとまとめでばーーーっと描写してしまうと、移動シーンなんて本当に何の意味も持たなくなってしまう。
実際ボクが書いてたのはまさにそんな感じで、移動シーンで会話とか意味ある……? カットでよくね……? みたいに思ってた。
そんな当時のボクの苦悩というか限界が魔族暮らしの四話には現れていて、エリシャとのエッチシーンの後から水精に会うまでっていうのがモロに今の話に該当している。
あそこ、今のボクならエリシャと会話させながら世界観と二人の性格とか関わりとかをきっちり描写する。
でも当時はそんなことできなかったから、典型的な「まとめて世界観説明」「移動シーンって何書けばいいの……。ええいもうさっさと到着させてしまおう」シーンになっている。
ただ当然だけど「まとめて世界観説明」をやめると文章量は増える。
だから、「描写が薄くなって困っています」の一つの原因は世界観とか容姿とか心の動きとかをまとめて描写してしまっているっていうのが回答の一つなのは多分間違い無い。
経験者だから分かるけど、これをやると移動シーンとか日常シーンって存在意義を失うからね。
もちろん「描写が薄くなって困っています」に対するもう一つの回答は当然「描写すべき所を描写してない」ってやつだけど、今回は割愛。
いずれにせよこの辺を意識するだけで大分文章量ってのは増える。
魔族暮らしの前半が割合に淡々と進むのに対して最近は妙に沢山エピソードが必要なのは、その辺が影響しているのは間違い無い。
まあともかくそんなわけで、移動シーンとか日常シーンはそれらを書くためにあるんじゃなくて、世界観とかそういうのを書くための小道具にすぎない。
これも物の本には確かに書いてあるんだけど、書いていようが落とし込めなきゃ意味がないというお話で、今ならなんとなくその意味が理解できる。
なんにせよ、しんどくっても書き手は楽をせずにきちんと会話とか動作で説明するっていう努力をしないといけないし、それが読みやすさというかいわゆる文章力みたいなのに繋がっていくんだろう。
精進しようっと。
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