こなれた文章を書くっていうこと

たまには小説のことについても書いておかねばなるまい、ということで。
一時(転生勇者の前半書いてるくらい)結構悩んだ、こなれた文章というか、いわゆる現在形・体言止め・過去形のお話。
なんでこれに悩んだ時期があったのかというと、まああれですな、どうも同じ文ばっかり繰り返すというか、まとめて読んだ時に淡々と事実が羅列されてる感みたいのがあって、どうすればリズム感みたいなやつをつけられるのか? という感じでウンウン考えてた。
特に転生勇者の前半あたりはひどくて、意識しすぎた挙句に「た」と「る」と「体言止め」が交互に現れるという、最悪な文章になっている。
結局開き直って、転生勇者の終わりくらいになんとなくコツみたいのが見えてきて、最近はどうにか言語化できそうな感じがしてきたので少し自分用にまとめてみる。

で、少し話は飛ぶけど〝現在形縛りはできても過去形縛りはできない〟みたいな話を聞いたことがあって、確か村上春樹さんの「海辺のカフカ」は現在形のみで構築されている。
残念ながらボクはその本を読んではいないしそれを知った当時はイマイチ実感がわかなかったんだけど、今なら確かに、現在形だけで文章を構築するのは不可能ではないけど(もちろん自分ができるとは言ってない)、過去形だけで構築するのはたぶん無理、と言える気がする。

というのも、日本語の「過去形」ってやつは基本的に「た」で終わる以外の方法がない。
(言語学者じゃないので特例は知らんけど)
こうなると文章という観点で見た時にひたすら「~~た」「~~だった」「~~していた」というようなのが続くような感じになってとても読めたもんじゃない。

ところが、現在形ってやつはいくらでも語尾を変えられる。
「思う」「思うんだ」「思っている」「思っているらしい」「思ったそうだ」「思うけど」「思います」「思え」……etc.
もちろんこれはいわゆる助詞とか助動詞とかが絡み合ってそれぞれ意味が違うわけだけれど、こいつらを組み合わせれば色んな語尾とか言葉の節を作ることができる。

で、こなれた文章っていうのの個人的な結論としては、〝同じ文末表現が続かない〟〝同じような文節にならない〟〝同じ表現を使わない〟あたりだと思っていて(大して新しい知見じゃないけどね。自分の中に落とし込むってのが大事なのであえて堂々と宣言しております……)。
この内〝同じ文末表現が続かない〟ってのは現在形なら普通にクリアできる。
さっきは言わなかったけど、体言止めとか形容詞止め(~~ですごくきれい。みたいな)も含むことができるし。もちろん過去形も混ぜられる。
個人的な比率としては現在形6~7に対してそれ以外、くらいがちょうどいいのかなぁとは思っているけれど、これは中々難しい。

次に〝同じような文節にならない〟ってのは何かって言うと、これは一文の長さは適度に変えましょうっていうのと、同じような言い回し(作者のクセとも言う)は避けましょう、みたいな所。
下は転生勇者の第三話の冒頭だけど↓

 ミツキが捕まってから一日が経った。
 媚薬に高められた身体を何度も何度も貫かれ、達しそうになりながらも決して絶頂は迎えない。
 ひっきりなしに嬌声を上げた喉は少し痛みを感じるほどで、涙の筋などとっくの昔に数えることなどできないほどの量になっている。最初の頃は激しかった抵抗もすでに鳴りを潜め、魔王城の広間にはぐったりとした裸体が触手に吊るされているだけだった。
 彼女の股ぐらでは、今も二本の太い蔓が飽きることなく洞穴を貪っている。

ここで、二行目から最後まで「~~~、~~~。」っていうのが続いてしまっている。
これはボクのクセで、どうもこの理由は何も考えずに目の前の情景をリポートしているから起きてるっぽいんだけど、ともかくこの頃はまだそれに気づいていなくて最近はなるべく減らそうと心がけてはいる。
まあ全部が全部修正はできないし面倒でそのままのことも多いんだけど、このあたりが当時感想でもらった「文が変」っていう部分の一つの要因なのかなぁ……みたいには思っている。
ともあれさっきのを今の感じで修正すると↓

 ミツキが捕まってから一日が経った。
 その間、媚薬に高められた身体は激しい責めに何度も何度も達しそうになりながら決して絶頂は迎えない。
 ひっきりなしに嬌声をあげた喉は少し痛みを感じるほど。涙の筋はとっくの昔に数えることなどできなくなっている。最初の頃は激しかった抵抗もすでに鳴りを潜め、魔王城の広間にはぐったりとした裸体が触手に吊るされているだけだった。
 そして――今も彼女の股ぐらでは二本の太い蔓が飽きることなく洞穴を貪っている。

とかだろうか。修正になってんのかは知らんけど(汗
ただ初期よりは淡々と事実を羅列してる感というか、読んでてテンポが全て同じ感が緩和されているんではなかろうかと思っている。ほんとに出来てるかは知らんけどね( ´△`)

あと、最後の〝同じ表現を使わない〟は、これは別に言うまでもないと思う。
おまんこおまんこばっかり言ってないで、女陰とか肉壷とか花弁とか、そういう言葉を使いましょうっていうことね。
なに? 〝おまんこ〟って響きが持つ淫らな感じが弱い?
だったら雌穴とかおちんぽケースとか言っとけばいいんだよ(暴論
個人的な経験としては「雌~」ってつけると〝そういう意味〟でエロくなる。雌肉とかね。この辺は淫語系の大御所やらエロゲからそれっぽい単語をサルベージするくらいしか方法がないんじゃなかろうか。
あとは「~汁」かな。雌汁は言うまでもないけど「肉壷から溢れ出した蜜」というよりは「肉壷から溢れ出した淫汁」っていうほうが卑猥感が増す気はしている。もちろん理想は「雌穴から溢れ出した淫汁」ではあるんだけど。

正直エッチシーンにおける言い回しは勉強中というか書きたいのが淫語系がそれ以外かで話も変わってくるのでまだ全然落とし込めてない。
ただ比較的造語が多い場所なので、好きなように単語を作ればいいんじゃないかと思っている。
なんにせよ〝同じ表現を使わない〟なんてのは基本中の基本なので、これはまあ色々模索していくしかないんじゃなかろうか。

こんなもんかね。
とりあえずはまあ、今ん所の覚え書き。いつか戻ってきた時に鼻で笑えるようになりたいなぁ……って、これ前にもどっかで言ったな(汗

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