なぜ榛名だったのか、は結局未だに分からない

夕方くらいにpixivへ『泡沫と消えるその日まで』を投稿いたしました。
ムダに中二っぽいタイトルなのは狙ってです。内容は単に榛名と傷の舐め合いをするだけ。

いやまあ、そこまで別に病んでる話でもないんだけど、いかんせん色々と追い詰められていた時に見た夢が元ネタなので全体的に雰囲気が暗い。とにかく暗い。
だーもう! とにかく息苦しいわ!! って、推敲しながら何度も思った。
あんまりにも息苦しいし、気取ってるし中二臭いしで、だったらもうタイトルも中二っぽくしてやらぁ!! という感じであんなタイトルに。
あ、どうでもいいけど泡沫は『うたかた』と読みます。『ほうまつ』ではないです(クソどうでもいい)

で、一体なんだってまたこのタイミングで榛名なんだってことだけど、これはついったでも触れている通り全ての始まりとなった夢にいい加減ケリをつけたかったから。
〝全ての始まりとなった夢〟ってなんやねん、てのはこの辺に書いたんだけど、要するに榛名とヤる夢。
この夢を見なかったら多分ノクタには進出していなかった。よしんばしていたとしても相当後のことだった。

まあそんなわけで、その時濡れ場の直前くらいまで書いていたものをいつか完成させなきゃいけない、いつか完成させなきゃいけない……みたいなのはずっと思ってはいたんだよね。
んで、金曜(14日)の夜にとぼとぼ帰ってた時ふと「あれを完成させよう」と思い立った。
(ほぼ)二周年記念みたいなノリでケリをつけてしまおう、と。

(以下長いので追記で)

と、いうわけで。
ここからは二年間でどの程度変化があったのか。どういう見方や考え方の違いが生まれたのか。
なかなか分かりづらい「文章の違い」、恐らくは「文章力」というものが具体的にどういう所にあるのか……みたいのを見ていこうと思う。
別にボク自身文章がうまいとはかけらも思っていないけど、少なくとも二年前の自分よりはうまいとは思うので、まあ何らかの参考になればいいというか、一回言語化して自分の中に落とし込んでおきたい、みたいなそういう話だ。

で、以下が『泡沫と消えるその日まで』の初稿……というか、2016年7月16日までに書き殴ったもの。
多少なりとも読みやすくなるようにセリフとの間には空行を入れてあるけど読めたもんじゃないし意味もないので、読み飛ばしてもらって問題ないです。↓

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ふと意識の浮上を感じて、傍らの時計を見る。21:34分。一時間ほど、時間がたっていた。
遮光カーテンから入る光が室内をぼんやりと照らす。窓際にある自分のベッド付近は一番明るく、対面にある執務室と通じる扉付近は特に暗い。今は執務室の電気も落ちているため、向こう側から光が漏れだしてくることもなかった。
右腕で上腕を覆い、わずかに漏れている光の拒絶を試みる。今はまだ、動く気になれない。
今日の作戦は、最悪だった。最悪に最悪を想定していたはずなのに、なお上を行く歯車のかみ合わなさ。それも、打った手がすべて裏目るタイプの最悪ではなく、状況の変化が激しすぎてこちらでとれる対策などほとんどないというタイプの最悪だ。降りかかる天災に、人の身で抗おうとしたようなものだった。ギリギリのところで轟沈を出さずに済んだのは、僥倖としか言いようがないだろう。次に同じことがあれば、おそらく誰か沈む。
歯ぎしりをする。体を捻り、カーテンからの光に背を向ける。
――怖かった。逃げ出したかった。
だが当然、指揮官にそんなマネは許されないし、見せるつもりもなかった。なるべく冷静を装い、できる限りの最善手を打った。そのつもりだ。
だが一人になったときに、その不安に抗えるかと言えば、残念ながら自分はそこまで強くはない。通常よりも少し早めに業務を切り上げ、ベッドに身を投げ出して明かりを落とせば――そこには、不安や恐怖に押しつぶされ、すべての義務や責任から逃げ出したくてたまらないちっぽけな自分の姿がある。
身震いする。彼女らを指揮し、勝利に導くという職責が、本当に自分の肩に乗り切るのかという疑問が沸いては消える。上層部のクソジジイどもは無茶な命令ばかり送ってくるが、大概にしてほしかった。可能なら殴り飛ばして、罵声を浴びせたいほどだ。
身体を再び捻る。今度はカーテンの方向。目を閉じていても、隙間から入る光が感じ取れる気がした。
悶々とした自分の気持ちに整理はつかない。整理がつこうがつくまいが明日にはまた仕事が始まるわけで、今日中に何とか気持ちを落ち着けなければならない――わかっていても、なかなか難しかった。
今までも何回か危機に陥ったことはあるし、ふさぎこんだこともある。だがその時は、今回ほど絶望的ではなかった。頑張れば、最善手を打てれば、もっといい結果を引き寄せられた。だから頑張ろう。そう思えた。
しかし、今回はそうはいかない。どれだけ思い返しても、それが最善であったとしか思えない。最善手を打てたから轟沈を出さずに済んだ……などと自分を慰めようともしたが、それは同時に最善手を打っても誰かを喪うことがあるということを意味している。
――戦争だ。それが当然だ。
頭のどこかでそんな声が聞こえる。それはそれで、正論だった。自分は軍人で、しかも指揮官だ。場合によっては、部下に死んで来いと言わなければならない。そんなものは、指揮官学校で最初に教えられるようなことだ。
だが、机上や訓練でそう思うことと、実際に指示できることは違う。特に艦娘は、実際の戦闘能力はともかく見た目には女の子だ。そんな相手に、みんなのために死んでくれ、などと言うのは非常に心ぐるしい。そして彼女たちは、そんな命令が下ったとしても嫌な顔せず従うだろう。それが兵器として生まれ変わる際に、根底に刻み込まれる命令の一つだからだ。
だからこそ、そんな命令を、出したくはなかった。出さないように運営すれば、必ず無事に帰ってきてくれると、そう信じていた。だが今回の事例は、やはり現実はそこまで甘くないと、そう言っているようなものだ。どうあがいても、どうにもならないことはある、と。
寝返りを打つ。最初と同じ、仰向けの姿勢。ぐるぐると考えがまとまらないまま、再び時計に視線を向けると21:50分だった。15分ほど経ったらしい。
――コンコン。
控えめな、ノックの音が聞こえる。執務室のカギは閉まっていたはずだから、この部屋来れるのは秘書官の榛名だけのはずだ。
だが返事はしない。今は誰にも会いたくはなかったし、それが榛名ならなおさらだ。今日の作戦では、彼女の姉の金剛が轟沈の瀬戸際にあったのだから。
かちゃり、と音がした。鍵が開いた音。ついで、扉が開いたことが雰囲気でわかる。
風が流れたのか、花のような少し甘い香りがした。
ややあってから、ベッドが軋む音がする。と同時、腰のあたりが左側に傾斜して、重心が移動したのが分かる。

「……泣いてたのですか?」

榛名の声だ。いつも通りの、柔和な響きを持った。作戦終了時や金剛の様子を見に行った時などは強張った、あるいは今にも泣きそうな声色だったが、もう落ち着いたらしい。

「カーテンの光がまぶしいだけだ」

さすがに無視するのも居心地が悪いので、そっけなくそう返事を返す。

「どれどれ……」

そう言って彼女は、左腕を両手で掴み、自分の太ももの上へと置いた。掌越しに、榛名の体温が伝わる。

「確かに、泣いてはいないようですね」
「……わかるのか?」
「艦娘は、夜目が効きますから」

そうでもなければ、月明かりのもとで敵と戦うなどとてもできない、と声が主張していた。よく考えれば、真っ暗なはずの執務室を抜けてこの部屋まで来たのだから、夜目が効くというのもあながち大げさな話ではないのだろう。
しばらく、会話もなしに時間だけが流れる。

「……何しに来た?」

こちらから話しかける話題は当然ない。何か言うために来たのであろう榛名が口を開かないので、しぶしぶそう問いかけた。

「そうですね……少し元気づけに」

左手は、掌側が榛名の太ももに、甲側には彼女の手が重ねられている。その榛名の手が、愛おしそうに手の甲を数回撫でた。

「……表情に出したつもりはないんだが」
「どうでしょう? でも気づいていたとしても、他の娘たちにはなにもできないですよ」

榛名はそこで、こちらに倒れこんできた。体の上に、彼女の重さと熱を感じる。そのまま榛名は、胸元のあたりに左側頭部を乗せて目を閉じる。妙な姿勢なので、こちらからはつむじの部分がよく見えた。髪は洗ってきたのか、いい香りがする。榛名がこの部屋に入ってきたときにわずかに感じた、あの花のような香りだ。

「提督の鼓動を感じます……トクン、トクンって」

彼女が言うほど、スローペースではないだろう。早鐘というほどではないが、この状況で平然としていられるほど達観してもいない。彼女とは何度か肌を重ねたことがあるが、今日ほど煽情的な刺激を与えられたことは無かった。

「おい……落ち着け」

少し声が上ずっていたかもしれないが、そう制止の声をかける。ここで彼女の誘惑に乗ってしまっては、鬱憤を抱いて解消するようなもので、罪悪感のようなものしか残らない。

「落ち着いてますよ。提督こそ、意地を張ってはダメです」

榛名がこちらを見る。カーテンから入る薄明りの中でも、彼女の目が強い意志をもってこちらを見ていることがはっきりと分かった。自分の胸板の上で、顎を上げてこちらを見据えるその姿に、思わず、ひときわ強く鼓動が鳴る。

「提督は優しいから……。今日のこと、凄く後悔しているはずなのに、できる限り気丈に振舞って……」

そこで少し、顎を引く。でも……と呟いてから、榛名は再びこちらを見た。

「たまには、甘えてもいいんですよ? 弱みを見せていいんです」

榛名のその真っすぐな視線を受け止めきれずに、思わず顔を背けた。そんな態度に少しだけムッとしたような気配を見せ、彼女は腹部から胸部の方へとせり上がり、こちらの顔を押さえて無理やり正面を向かせる。
目の前に、榛名の端正な顔が広がっていた。互いの呼気が感じられるほど近く、けれど顔の全体が見渡せるほどの距離だ。

「なんで逃げるんです?」

少しだけ、詰問調になっている。

「気持ちは嬉しいがな、指揮官が弱みを見せるわけには……」

最後まで言い切る前に、唇をふさがれた。だが、驚いて戸惑っている間に榛名は顔を引き、微笑む。

「何を言っているんですか。大丈夫です。だって私は……秘書艦ですから」

言って気恥ずかしくなったのか、今度は榛名の方が視線を逸らす。鎮守府ごとにいくらか立ち位置の違いがあるとはいえ、大抵の場合提督と秘書艦の関係は――恋人のソレだ。
頭の奥が、じんと痺れた気がした。

「提督は他の娘に弱みを見せてはいけませんけど……私には、見せてもいいんですよ。私には、甘えてもいいんです。だから……」

最後まで言わせずに、今度は自分から榛名の唇をふさぐ。右手で彼女の後頭部を抱えて上体を起こし、同時に左腕で彼女の身体を強くこちらに引き寄せた。
榛名は唇が触れた瞬間こそ驚いたのか身体を強張らせたが、すぐに力を抜いて寄り添うようにこちらに体重を預けてきた。両腕を背後に回し、愛おしそうに軽く抱擁してくれる。
舌を伸ばす。舌先が榛名と触れ、次には激しく互いに求め合う。

「ん……ていとく……」

唇を離すと、榛名が頬を上気させながら甘えた声を出してきた。目は少しだけ虚ろになり、瞼が下がって吐息が少しだけ荒い。
そんな彼女の様子に、体の奥底から得体の知れない衝動のようなものが沸きあがってくるのを感じた。
再び唇を重ね、今度は左手で

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ここまでなんだけど、ひっどいもんだよね(笑
何がひどいって、とにかく読点が多すぎる。そんなに区切ってどうすんの? っていう。
これは魔族暮らしの初期もそうなんだけど、当時はとにかく読点が多いの。
今から読み返すと「なんで気づかなかったんだ?」って思うんだけど、当時はほんとにこれでいいと思っていたらしい。
というわけで、巷でよく言われる読みにくい文章の典型例「句読点が多すぎる」は間違いなく真です。
まあ、これは今更言うまでもないだろう。

で、次。
この頃のボクというのはとにかく情景を詳しく描写しなくちゃいけないんだと思いこんでいた。
具体的に言うと「〇〇は銃を構えてトリガーを引く」を「〇〇は右手に掴んだ銃を構えて△△めがけてトリガーを引く」みたいな感じで、わざわざ状況を事細かに指定するっていう感じ。
これ、ある程度の好みはあるんだろうけど、今のボクは「小説はある程度想像の余地を残したほうがいい」というスタンスで「できる限り余計な情景描写は省いてその分心理描写を乗せる」ことを意識している。

例えば初稿だと
『ややあってから、ベッドが軋む音がする。と同時、腰のあたりが左側に傾斜して、重心が移動したのが分かる。』
『そのまま榛名は、胸元のあたりに左側頭部を乗せて目を閉じる。』
右手で彼女の後頭部を抱えて上体を起こし、同時に左腕で彼女の身体を強くこちらに引き寄せた。』
とか。

まだまだたくさんあったけど、結論的に言うとこれ全部いらない。
榛名が右耳を提督の胸板につけていようが左耳だろうが後のストーリーには全く影響しないし、左手で頭を抱えて右手で身体を引き寄せようが全く問題ない。
あえて右とか左とか書くなら、それには必ず意味を持たせる。そうでないなら極力読者の想像に任せる。
そうしておけば一文に入れ込む情報はぐっと減るし、そもそも描写で雁字搦めにされた小説なんぞなんも面白くない。少なくともボクは面白くないので自分では書かない。

で、次。3つ目。
「~と言った」とか「~と言って微笑んだ」みたいなのはいらない。
例えばここ↓

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「どれどれ……」

そう言って彼女は、左腕を両手で掴み、自分の太ももの上へと置いた。掌越しに、榛名の体温が伝わる。

「確かに、泣いてはいないようですね」
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投稿版は↓

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「どれどれ……」

榛名はこちらの腕を両手で掴み、自分の太ももの上へと置いた。掌越しに彼女の体温が伝わってくる。

「確かに、泣いてはいないようですね」
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見て分かるけど「そう言って彼女は」の部分は削除して、ついでにさっき言った「左腕」も消している。
この「~と言った」とか「~と言いながら」っていうのは初期の頃本当に多かったんだけど、結論から言えば「」でセリフを入れてんだから「~と言った」なんて基本的に必要ない。二重敬語みたいなもんだ。
「~と言った」なんてのはセリフなんだから当たり前で、ってことは地の文では動作をくっつけておけばあとはそれで話が進んでゆく。
「~と言った」なんてつけるくらいだったら心情描写を一つ足したほうがずっといい(と思う)。

あと、こういうパターンもいらない↓
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「おい……落ち着け」

少し声が上ずっていたかもしれないが、そう制止の声をかける。ここで彼女の誘惑に乗ってしまっては、鬱憤を抱いて解消するようなもので、罪悪感のようなものしか残らない。

「落ち着いてますよ。提督こそ、意地を張ってはダメです」
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投稿版は↓
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「おい……落ち着け」

少し声が上ずっていたかもしれない。本音を言えばここで誘惑に乗って押し倒してしまいたかった。
けれどそれをしてしまうと今日は歯止めの効かない自信がある。普段なら気遣うことができるようなこともできず、ただひたすら、己の鬱憤を晴らすためだけに彼女を貫いてしまう確信がある。そんなものは終わった後に罪悪感しか残らない。

だから避けていた。

榛名の顔を見れば求めてしまうことは分かっていたし、優しい彼女はそれをきっと受け入れてしまうから。

「落ち着いてますよ。提督こそ、意地を張ってはダメです」
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「そう制止の声をかける」ってのをカットしたんだけど、これって要は「~と言った」の亜種なんよね。
こういうのをいちいち書いてると「~と言った」「~と言う」「~と言いながら笑う」みたいのが続いていわゆる「テンポ悪い文」ってやつになるっぽい。

このシチュも「制止の声をかける」なんてのは直前のセリフを見れば明らかで、だったら適当な部分で区切りながら一文の長さと語尾に変化を持たせてしまった方がいい。
この辺の個人的見解は昔まとめた通り。
というか、あとの部分はその記事で述べてしまっているからここではいいか。同じ文節を続けない、みたいなやつね。

まあ、ボクは同じような言葉を3つかそれ以上繋げて強調する、っていうのが好きで多用してしまう癖があるんだけど(ぇ
特に今回は気ままに書いたからそういうのがすんごく多い。

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今まで以上にがっつくように、乱暴に、ただ射精感を満たすためだけに媚肉をかき分ける。

捏ねるように。なぶるように。えぐるように。
花弁の形が変わる程に角度をつけながら穿ち込み、その度に震える少女の身体と沸き立つ汗の匂いに中てられて意識が飛びそうだ。疫病に侵されたようにクラクラとして定まらない視界の中で、ただ快感を貪るようにして秘肉に身を埋めてはその熱と彼女の存在感を確かめていた。

どこにも行かないように。
どこにも行かせないように。

膨れ上がった欲望が肉棒に集中し、限界まで亀頭が膨れ上がると同時にせり上がったカリ首がより強く淫襞をこそぎ落とし始めた。……もうそれほど長い時間は持たない。
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ここなんて最初に二文連続して登場した挙げ句、直後に空行で強調しながら登場してるもんね(汗
これはまあ、ボクの癖というか、絵柄で言えば個性みたいなもんだと思ってるんだけど、本当のところはどうなんだろう……。
しばらくしてから見返してみた時に「いやー、あれはないわーw」とかって言ってる可能性もある( ´△`)

まあ何にせよ、思いつくのはこのへんかな。
多分その他にもたくさんあるんだろうけど、現状言語化しながら「ここが変」と断定できるのはこんなもん。
無意識のうちに、あるいは「なんとなく」修正している箇所もそのうち言語化できたらまた一歩先のステージへ進めていることだろう。

長くなったけど、二年間で大体これくらい見えるモノは変わる、ということで。
日々努力を継続しながら先へ進んでいけばそのうち「あー、そういうことかぁ」って思える場所はどんどん増えるから、それを糧に前に進んで行きたいね。

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