散々悩んで悩んで悩んだ結果、FANBOX開設したって話

エッセイ的ひとり言

PIXIV FANBOXと言えば、イラスト界隈ではやっていない人の方が珍しいパトロンサイトだ。
それなりに有名な人でFANBOXを開設していない人を見つける方が難しいくらいにはポピュラーなものである。

……が、ボクはこれまでそれを開設してこなかった。
それは単にボク自身が〝そこそこ有名〟どころの身分ではないから意味ないと思っていたのもあるが、実際のところこれは言い訳だ。
なにせ、こんなものは早くに開いていれば開いているほどいいに決まっている。
人目につく可能性が上がるし、何より巡り合わせがよければ、そういった地点から成長していく様をまさしく〝応援〟してくださる人も現れるかもしれない。

だから、開設しなかった本当の理由はもっと情けないモノで。
けれどずっとずっと考え続けていたコトで。

散々悩んで、悩んで、悩んで、悩んで。
何度も立ち止まっては後悔に押し潰されて、それでも、もう一度一歩を踏み出してみよう……と覚悟を決めて一歩を踏み出した次第である。

 

さて、では何が引っかかっていたのかというと……まあ、知っている人なら知っているだろう、Fantiaの失敗がずっと尾を引いていた。
……いや、過去形じゃないな。今でも尾を引いている。
こうしてそれを思い出して記事を書いていても、心拍数が上がって呼吸が苦しくなるくらいにはトラウマになっている。

この一年とちょっとの期間、あの時なぜ失敗したのか、なぜあんな判断をしたのか、何を間違えていたのか……そんなコトをずっと考えていた。
だからまあ一通りの整理はついていて、どうすればよかったのか、どうすれば上手く回せそうかの算段も一応頭の中にはある。

……が、だからといって「またパトロンサイトの活動を再開します!」と前向きになれるかと言えばそんなことはない。
対策は練ったし、しんどかった理由も言語化できているけれど、肝心な部分の「前にあんなことをしておいてまた開設したの?」という問いに対してボクはあまりに無力だ。
「申し訳ありませんでした」と頭を下げ続けるしかないし、だから「パトロンサイトには二度と手を出さない」というのは一つの回答ではあったし、そうしていくのもいいな……と考えていた時期もある。

ただ……今後本気でイラストに取り組んでいこうと考えた時に、パトロンサイトという手段を自ら封じて選択肢を狭めてしまうコトに対するリスクが大きいというのも目がそらせない事実だった。
いや、真剣に考えれば考えるほど、それは直視しなければならない現実だった。

理想だけでは生きてはいけない。

そんな当たり前の現実が目の前にあって、高い高い壁として反り立っている。
これに立ち向かうためには広げられる活動の幅は限界まで広げて、さらにそこから一歩抜き出ないといけないというのくらいはさすがに分かる。

そして何より〝トラウマだから〟と目を背けて挑戦するコトから逃げ続けてしまっては、最終的に袋小路に辿り着いてしまうというのもなんとなくだけど予測がつく。
そうしてじり貧になるのと、〝過去の失態という業と枷〟を背負いながら、それでも前に進むのと。
どっちの方がいいのか? どっちの方が未来へ繋がっているのか?

考えて、考えて、悩んでもがいて。
それで最終的にFANBOXという形で戻ってくるコトにした。
ボクの絵に対して価値を見出してくれる人なんて今はほぼいないというのは承知の上で、いや、だからこそ、ここからまた少しずつ信頼を獲得していきたいと、そう思っている。

 

再びパトロンサイトを運営するにあたってFANBOXにしたのは、Pixivの延長線上で取り組めるからだ。

前回うまくいかなかった理由はいくつもあるけれど、そのうちの一つが「そもそも気負いすぎた」というのがある。
週に一回は更新して、しかもその中にはできる限りえっちシーンも入れて……。
そんなことをずっと考えながら過ごして、週末に一生懸命書き上げて。
最初の頃はそれでもよかったけれど後半は完全にガス欠で、それでもどうにか……と思っているうちに限界が来たというのがコトの顛末だった。

だから今回はそもそも気負わない。
投稿するのも「限界モザイク」と「高解像度」で、乗り気でもない時に差分を作らないし、FANBOXのためだけに新しく何か描くというコトも基本的にはしない。
〝価値を提供する〟という視点ではなく、〝日々の活動の延長線上で、もし応援いただけるならうれしいな〟という視点でいる。

あと、前回の時には支援してくれる人がどうしてもプライオリティのトップにあって、自分が表現したいエロと、提供すべきエロとの間で凄まじい葛藤があった。
なので今回は特にその点には注意を払うつもりで、だからこそ〝日々の活動の延長線上〟という視点が常に来るコトを肝に銘じている。

そんなので人が来てくれるの? と聞かれたら「初めから人を集めるつもりがない」というのが答えになってしまうだろう。
もちろん手を抜くわけではないが、パトロンサイトよりもプライオリティが高いのは常にCG集作成や、もしあれば依頼等の作業である……というのを徹底するという話である。

じゃないと確実にまた失敗する。

同じ轍は絶対に踏まない。
二度と踏まない。
真っ正面から向き合ってちゃんと乗り越えてみせる。

それが多分トラウマに打ち勝つ唯一の方法で――また信頼してもらえるための誠実な道のりだと、そう考えている。

 

 

エッセイ的ひとり言
えろんのかんづめ

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