Pixivにあってなろうにないもの

Pixivで本格的にイラストを投稿するようになって半年とちょっとくらい。
ノベルの時と比べれば圧倒的なユーザー数がある〝イラスト〟の世界で投稿しているうち、なんだかんだPixivって考えてるんだなっていうのが見えてきたのでちょっとまとめてみる。

Pixivのアクセス解析からどうにか情報を搾り取る

Pixivのアクセス解析というのは非常に悪名高くて、ボクも正直有料会員分の情報が入っているとは到底思っていない。
特にアプリからのアクセスが全て「Pixiv公式アプリ」でひとまとめにされているのは閉口せざるをえない。
スマホの普及によってネットを見る媒体が基本的にはアプリ経由であるという時代において、それらをひとまとめにするというのは暴挙そのもの。
実際、ボクのアクセス解析を見ても「Pixiv公式アプリ」は半分程度を占めていて、それが結局ランキングなのか新着なのか、はたまた別の経路経由なのかというのはブラックボックスの中だ。

とまあ、これ以外にも少し調べればPixivアクセス解析の評判の悪さというのは目につくし、実際使い勝手も悪い。
が、悪いなりにどうにかこうにか情報を吸い出すというコトもできる。
その中の一つが「Pixiv.netのその他のページ」というやつ。
これは一体なんなのか? というと、基本的には「関連作品からのアクセス or あなたへのおすすめからのアクセス」というコトになる。

なんでそう言えるのかと言えば、消去法的に恐らくそこだという予測が立つからだ。
ランキングからのアクセス、新着からのアクセス、プロフィールからのアクセス……こういったモノはきちんと区分けされて表示されているし、大百科からのアクセスは外部サイト経由という形なのか、大百科経由だよというのがきちんと表示される。
そうなると「その他のページ」というのは大分絞られてきて、その中で最大のマス目を持っていると推測されるのが〝関連作品からのアクセス〟か、トップページにある〝あなたへのおすすめ〟になる。

もう一個そうだと思う理由を述べておこう。
Pixivでイラストを投稿すると、まず最初につくブクマは大体「新着」か「フォローユーザーの新着」になる。
その次に「検索」がぐぐぐっと伸びてきて「Pixiv公式アプリ」の下につく。
(Pixiv公式アプリは大抵いつでもトップにいる。当たり前だけど)

そしてある程度時間が過ぎると「その他のページ」からのアクセスがどんっ、と増える。
これはなぜか?
もはや新着ではなくなったので新着から来る人がいなくなった……というならただ「新着」のパーセンテージが落ちるだけのはずだし、ランキングならランキングだと分類わけされる。
となると、これにリーズナブルな理由を与えるなら〝関連作品 or あなたへのおすすめに自分のイラストが表示されるようになったから〟となるわけだ。

関連作品経由のありがたさ

これは描く側として非常にありがたいし、見る側としてもありがたい。
実際ボクも、あるイラストの関連作品から別の作品を見に行くというコトが多々ある。
特にエロ絵は顕著で、なんせ性癖に刺さるイラストの類似作品なんだからそりゃ刺さる。

Pixivに投稿したイラストが、ランキングに乗らずともなんだかんだちょくちょく見られるというのはこの辺の影響があるのは的外れな見方ではなかろう。
どれだけ古いイラストでも意外にアクセスがあったりするのである。しかもプロフ非経由で。

そうなると、Pixivでは上手いイラストが順当に評価されるというのも頷ける。
検索ワードを考えるとか、ランキングに乗せる小手先の技術(投稿時間の調節等)はあるけれどそれはあんまりマジョリティにならず、なんだかんだ「うまくなれば人が集まってくる」を地で行くのは、そういう水物の評価以外の軸で人とイラストが出会うよう設計されているからだ。

なにせ、(もしかしたら限度はあるのかもしれないが)どれだけ古いイラストだろうと「関連作品」には乗るし、そのイラストが目を引くくらいの魅力があれば人が来る。
そうして人が来て、他のイラストを見て気に入ってくれればフォローしてもらえるし、それが積み重なればいずれランキングにも乗ってくる。
「あなたへのおすすめ」に載れる可能性も高くなるだろう。

正当な評価システムだ。

ちゃんとイラストを投稿していればなんだかんだ人の目に触れるというのであれば、クラスタだなんだといった政治を行う必要もない。
余計なコトに時間や苦労を割く必要も無く、黙々と自らを高め続けていけばいい。

この点でPixivの運営というのはよくやっていると思う。
多分だけど、この「関連作品」やら「あなたへのおすすめ」の算出にはAIも絡んでいるんだろう。
仮にそこまでやっていなくとも、それなりのアルゴリズムを組んで改善を繰り返しているんだろうな……というのは予測できる。

つまり良くも悪くも、Pixivの運営は常に挑戦し続けているのだ。
また使いづらいUIにしやがってこんちくしょうが……! と思う事も多々あるけれど、冷静に考えて、トップページにランキングではなくおすすめ作品を載せているのは描く側にとっては非常にありがたい。
そもそも、AIなり複雑なアルゴリズムが発展した現代でランキングにどこまで意味があるのか? というのは、よく考えてみれば当然の疑問だ。

Youtubeにしたって何にしたって、今は大量のデータを分析したAIが平然と「あなたへのオススメ」を提案してくるし、そもそも不快になりそうなモノは意図的に表示してこない。
結局、〝沢山の人が見ています〟という情報が〝あなたにオススメなんです〟という情報に勝てるはずがないのだ。
だから描き手側としては〝沢山の人に見てもらう戦略〟から〝刺さる人にきちんと刺さる戦略〟にシフトしてもなんの問題も無い。
だって、AI(ないしは何らかのアルゴリズム)が〝その作品が届いて欲しい人〟にちゃんと届けてくれる。

そしてこれこそがノクタ――もといなろうに決定的に欠けている部分と言えるのである。

なろうは時代に取り残されてゆく

これもまた今更言及するまでもないが、なろうの「この小説をブックマークしている人は~」はマジでなんの役にも立たない。
試しに適当な作品を開いて確認してみたけど、リゼロや無職転生に転スラ等々、誰でも知っているような作品が並ぶ。
こんなリストを見せられてどうしろというのか。
明らかに「ブックマーク人数の多い作品をピックアップして載っけてます」というだけのアルゴリズムなのが見え見えで、しかもそれを改善する気は一切ないのである。

これは大問題だ。
アルゴリズムが安っぽいことではなく、時代に対応して変化する気が一切ないという部分が致命的にマズい。

いや、別にボクはなろうになんの思い入れもないし完全に外様なので「なに言ってるんだお前」と言われればその通りなのだが、そこを承知の上で「このままだと崩壊するよ」と言っているのである。

まあ、なろうの運営が何もしないのはユーザー側はよく知っていて、もはや言っても無駄だと諦めている部分でもある。
ちょっと前に評価方法が変わったのが話題になったけど、そもそもこれ、一体何年前からずっと言われ続けてたんだ? というくらいのカビが生えたレベルの話で、ノクタの作者ブックマーク導入も「今更?」というくらい散々言い尽くされて諦めてた話である。
未だにランキングが抱える問題も解決していないし、それより解決が簡単であろう「この小説をブックマークしている人は~」はてこ入れする気配などまるでない。

時が止まっている。
十年くらい前から。

なろうのUIというか全体的なセンスはもはや懐かしさを覚えるくらい昔のモノで、それがノスタルジックでいいというなら止めはしないけど、その先はない。
少なくとも〝沢山の人が見ています〟ではなく〝あなたにオススメなんです〟という情報を提供できるようにならないと、どれだけ甘めに見積もっても発展する未来が見えない。

正直、Pixivがもう少し小説周りのUIを改善したらなろうは一気に駆逐されるだろうな、というのがボクの予想だ。
なにせPixivは二次創作が許され、イメージレスポンスという形でイラスト描きとノベル書きが結びつきやすいという素地がある。
ここが広がれば、Pixivは〝イラストレーターとシナリオライターが出会う場〟としてのプラットフォームという形になり得る。同人市場も一気に活気づくだろう。

今そうなっていないのはPixivがノベル投稿の場としてあまりに使いづらいからというのに他ならない。
特に長編関連のUIが最悪すぎる。
この辺に対し、いわゆるノベルサイトを参考にして本格的に手入れを行い、後は何か爆発的なヒット作が一個でも出れば天秤は一気に傾く。
それくらいなろうに対する〝諦め〟は強いし、絵描きとコミュニケーションしやすいというのは魅力的だし、何よりPixivの〝時代に対応して変わっていこうとする姿勢〟は強力なのだ。

 

ではでは、今回はこんなところにしておこう。
皆様よいオナニーライフを……!

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