ライザ2クリアしたよ、って話

発売数日後に買うだけは買って、年末休みに入るまでは……って事で置いていたライザ2、もとい『ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜』を二日ほどかけてクリアしたのでその感想、もとい防備録をば。
ネタバレ満載で行くので、マズい方は待避をお願いいたします。

 

 

 

 

 

さて、とりあえず感想としては、つまらない訳ではないけれど特別面白いわけでもない、という辺り。
前作が素晴らしかったから期待値が非常に高かった……というのもありはするけれど、それ以前に、ストーリーがあまりにお粗末なのとダンジョン探索がひたすらだるいのとで純粋にゲームとしてあんまり完成度が高くない、という感じ。

特にストーリーが酷くって。

いや、前作があまりに綺麗に、近年稀に見るくらいに練り上げられたストーリーだったから多少微妙でもそれは仕方ないとは思うんだけど……そういう問題ではなく。
あまりに酷いからどういうことなんだろう? と思ってたら、そもそもライザ2には高橋さんは関わっていないようで。
それなら全ては合点がいくというか、メインライターが違うのにキャラクターの特徴は捉えていたからむしろよく頑張ってるんじゃないかと思わなくもないけど、それを差し引いても救いようがない。

なにせ今作の物語、前作みたいに「島を救わなきゃ……!」みたいな大きな目的なんてモノは全く無く、むしろライザが全ての根源で問題を引き起こした挙げ句それについて特に反省どころか言及も何もないまま最終的にはアンペル頼みでなんとなくよかったねで終わるという、おおよそ考え得る限り最悪な感じの流れになっている。
アクゼリュス崩壊を引き起こしておきながら反省してないルークみたいなもんである。いや、結果的にそこまでの大崩壊になってないけど、なっててもおかしくなかったんだから本質的には似たようなもんだ。

まあ、ボク自身アトリエシリーズはライザしか知らないし、だからそれくらい軽くても……と言われればそうなのかもしれないけれど、それにしたってあまりにも、周囲の大人が大人としての役割を果たしていない。
前作はアンペルやリラがストッパーになっていたけど、今作はライザのイエスマンしかいないという状況で、ライザのやる事に危険性を指摘してくれる人が誰もいない。

で、これ、ただいないだけならまだマシなんだけど、それも不自然で。

だって、おかしいんだよなぁ……。
中盤までは確かによく知らないまま進めています……でいいかもしれないけれど、最後の二つの遺跡の解放は、少なくともタオ辺りは「ヤバい」って気付かないほうがおかしい。
あんなけ遺跡の伝承を紐解いて、特に「〝氷月〟で封じている」という事まではっきり書いてあって、それを守る明らかに人工物な存在が確かに存在しているのに無警戒に事を進めるなんてこと、あるはずがない。

別に敵対しろと言ってる訳ではなく、「こういう可能性があるけど、それでもやるんだね?」みたいな一幕があればぐっと説得力というか、ライザの覚悟のようなものも前面に押し出せるだろうに。
なんでも今回のテーマは「母性」らしくって、確かにライザがフィーに向ける愛情というか慈愛というか、それは母性そのものというか、いわゆる母親が子供に向ける無償の愛そのものだけれど。
それに仲間の全員がマンセー状態で、その先にあるものを全く見ていないっていうのがあまりにも不自然だし、プレイヤー側にも違和感がひたすらに残って全く感情移入ができないんよね。
そもそもライザがなんでそんなにフィーに入れ込んでるんだかもさっぱりだし。

タオが気付かないのが変っていうのもそうだし、クリフォードが――トレジャーハンターとして食べる事はできていて、鍵開け具を見つけて真面目な声で即座に廃棄を選択できるくらいには経験豊富で冷静な判断のできる彼が、その危険性に思考が向かないっていうのがこれまた変で。
いやアンタ、貴重な大人ポジションだろう? ライザがやろうとしている事にうまく楔を打ち込みつつ「だが――それでもオレはお前のやりたい事に全力で力を貸すぜ!」って、熱くロマンを語る男のポジションだろう? なんで、芯があるんだかないんだかよく分からないポジションになっとるんやい! 的なね。

クリフォードみたいなタイプは個人的にすごく好きなタイプの登場人物なんだけど、その魅力を全く引き出せてもらえないまま、本筋にもあんまり深く関わらないままクリアしてしまったという印象。
セリの方はまだ目的の為にライザと一緒にいるのは分かるんだけど……ただまあ、二人ともいてもいなくても話が回ってしまう時点でストーリーテイリングとしては失敗してる。
まあ、そういう意味ではクラウディアもレントも完全にオマケ扱いで、パティですらあんまり意味が分からんのだけれど。

ぬーん、やっぱりこれ、単にシナリオの質の問題な気がするなぁ。

結局ライザ達の行動原理が全てフィーを救いたいになっていて、でもフィーを救いたい理由に掘り下げが全く無いから、登場人物の登場理由に説明がつかない。
パーティメンバーのほとんどが「いなくても話が成立する」っていうのはさすがにどうなんだ? っていう。
というか、今作のパーティメンバーで物語上いなきゃいけない仲間ってむしろ誰だ? タオですらテーマに即せばいなくても話が成立してしまうんだから他は言わずもがな。

あげく、その「フィーを救いたい」っていう行動理由も、単に友達だからとか、仲間だからとか、あるいはそれこそ「子供」だからとか、そういうふわっとした調子で進んでしまっていて、しかもそこに対して「本当にそれ(=過去の人たちが封じているモノを表に出す可能性があるけど)でいいの?」って言ってあげる人がいないから気持ち悪いっていう、そういう事なんだと思う。
ぶっちゃけ、プレイヤー的にはフィーを救いたい理由なんてありはしない。
それより遺跡の封印を解いて古代の脅威が襲ってくる方がよっぽどヤバい。もちろんお話として「それでもフィーを救う」っていう風にするのは全然いいんだけど、そうするための掘り下げというか前提というか、お膳立てが全く無いから「いや何言ってんだお前ら」って、白けてしまうっていう感じ。

ほんと、せめてタオかクリフォードが一言でも何か言っててくれればここまでちぐはぐな感じにはならなかったろうに……。
こんな感じでストーリーが酷い上にダンジョン探索がただただ怠い(記憶たぐりで結局全マップ制覇させられる上、その後の記録埋めがただただ苦痛)せいで、マジでライザのふとももと平泳ぎくらいしか見所がないっていうのが、期待値が高かった分残念すぎる。
ゲームとしてはまあ、荒削りとか戦闘バランスの酷さとかはあるものの普通に面白いんだけどね。
キャラクター同士のやりとりも見てて楽しい。メインストーリー以外の部分は。

あ、あとボオスの成長というか、株の上がり具合はよかったな。
彼の成長を見れたのが一番の収穫だったかもしれない。

なんにせよ、総じて「つまらなくはないけどとびきり面白いわけでもない」という最初のお話に戻るわけである。
アクションゲームだったらシナリオはおざなりでもいいと思うけど、RPGだからなぁ……。
高橋さんがオファーを辞退したなら仕方がないけれど、そうじゃないなら、やっぱり高橋さんに書いて欲しかった……というのが結論かな。うん。

感想
えろんのかんづめ

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